脳を錯覚させる加圧トレーニング

加圧トレーニングのメカニズムとは

前回チートデイ「騙す日」についてお話させていただきました。

いつもと違う変化があると、何かがおかしい…と疑ってしまいそうですが、純粋な脳や身体は、私たちのちょっとした作戦によって騙されてくれます。それをうまく利用することで筋力アップやダイエットをスムーズに進めることができます。

「騙す」と言えば加圧トレーニングの基本です。

騙すというとあまり良いイメージではないかもしれませんが、脳を錯覚させるということですね!脳を錯覚させて理想のボディラインに導く加圧トレーニングのメカニズムについて、改めてお話したいと思います。

速筋と遅筋

筋肉には「速筋」と「遅筋」があります。

「速筋」とはダッシュやジャンプといった瞬発力を発揮するための筋肉のことで、体内の糖をエネルギー源としています。一方「遅筋」とは、ウォーキングなどの持続力を発揮するための筋肉で体内の酸素をエネルギー源としています。

2つの特徴は対照的で、速筋を鍛えようと思うと短距離走や重いダンベルを持ち上げるといったようなトレーニングを積む必要があります。速筋は糖をエネルギー源としていますが、筋肉中に糖質はわずかしかないため、短時間しか活動できないという特徴があり日常的な出番はあまりありませんが、いざという時に力を発揮してくれる温存型の筋肉と言えます。

反対に遅筋は長時間にわたる動きをする際に使われる筋肉で、ウォーキングやジョギングといった有酸素運動を行うときに活躍します。体内の筋肉の7〜8割程度を占めていて、速筋とは違い日常生活のさまざまな場面で使われています。体内の酸素をエネルギー源としていていて、有酸素運動を続けることで、脂肪をエネルギーに変えてくれる特徴があります。

このように速筋と遅筋は性質が異なり、それぞれ活躍する場面や鍛え方も違うことがお分かりいただけたと思います。

加圧トレーニングで脳を錯覚させる

通常、速筋を鍛えるためにはとても重い負荷をかけてトレーニングを行う必要があります。ですが、負荷が重いため筋肉はすぐに疲れてしまい、長時間続けることは難しいです。そして、遅筋の場合は軽い負荷にはなりますが、長時間トレーニングを続けることが必要となります。負荷が軽い分、長時間続けて行わないと筋肉を疲れさせることができないからです。トレーニング方法がこれだけ違うので、通常のトレーニングでは2つの筋肉を同時に鍛えることは不可能です。

しかし、それを可能にさせるのが加圧トレーニングです。

加圧トレーニングでは専用ベルトで適正の圧をかけて、血流を制限させた状態でトレーニングを行います。加圧をかけた状態でトレーニングを始めると、まずは遅筋が働き始め、血液中の酸素をどんどん消費していきます。ですが、血流制限をしているため、筋肉に対しての酸素供給が不十分になり、遅筋は酸欠状態になります。

つまり加圧をすることによって、無酸素運動状態を疑似的に作り出しているということです。そうすると低負荷のトレーニングでを行っていても、「ハードなトレーニングをしている!」と脳が錯覚を起こしてくれるので、遅筋に入れ替わり今度は速筋が働きだしてくれます。

これが加圧トレーニングで速筋と遅筋を同時に、しかも短時間で鍛えることができるというメカニズムです。この脳の錯覚を利用することで、実際に加圧トレーニングでは1キロ程度のウエイトトレーニングを行っても、重い負荷のトレーニングを行っているのと同じような効果が期待できます。

成長ホルモンも大量に分泌される

加圧トレーニングを行うと、実際は軽い負荷をかけたトレーニングを行っていてもハードなトレーニングを行っていると脳が錯覚を起こすことで速筋が鍛えられることがメリットであるということはお分かりいただけたと思いますが、それによって大量の成長ホルモンが分泌されるということも大きなメリットです。

成長ホルモンの分泌を促すためには乳酸が鍵となります。乳酸とは糖がエネルギーとして使われる過程で発生する物質のことです。糖がエネルギーとして使われる過程ということは、脂肪や酸素をエネルギー源として使う有酸素運動ではあまり分泌されず、糖をエネルギー源として使う無酸素運動を行うことで多く分泌されるということです。

さらに、加圧トレーニングでは専用ベルトで血流を制限させているため、筋肉内でできた乳酸が血流に流されず、筋肉内に溜まりやすくなります。この溜まった乳酸によって筋肉内の受容体が刺激され、刺激を受けて損傷をおった受容体を修復するために脳は成長ホルモンの分泌量を増やすようにと指令を出すのです。これが加圧トレーニングで成長ホルモンが大量に分泌されるメカニズムであり、最大のメリットとなります。

成長ホルモンは何度かお伝えしている通り、美容効果やダイエット効果、健康増進など嬉しい効果がたくさん期待できるホルモンです。

成長ホルモンは残念ながら年齢とともに分泌量が減ってしまうので、加圧トレーニングで自ら成長ホルモンを分泌させましょう!

まとめ

通常は同時に鍛えることができない速筋と遅筋ですが、加圧トレーニングでは低負荷なトレーニングを高負荷なトレーニングだと脳をうまく錯覚させることで、速筋と遅筋2つを同時に鍛えることが可能です。しかも短時間で行うことができます。

忙しい毎日の中でなかなかトレーニングが行えないという方も、体力に自信がなくて重い負荷のある運動は難しいと思われている方も、加圧トレーニングなら低負荷・短時間で行うことができますので、とてもオススメのトレーニング法です。

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